2020.03.20
大規模修繕工事
一般的な大規模修繕工事の流れについては、以前こちらのブログ(『大規模修繕工事』https://www.toujuu.co.jp/blog/2256 )でお伝えした通りですが、実際に大規模修繕工事を進めていく上で、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
今回は大規模修繕工事の中で、やるべきこと」「やってはいけないこと」をはっきりと分けてお話します。
2つを対比させて考えて、やるべきことをしっかりと実行できるようにしていきましょう。
ステップ1.修繕委員会の設置と計画
まずここでは修繕計画(全体のスケジュール)を立てます。
やるべきこと
まずは管理会社が大規模修繕工事に関する大枠のスケジュールを決めていきます。このスケジュールがないと、どこをどう修繕するのか決まってきません。スケジュールが決まったら修繕委員会を立ち上げます。
この修繕委員会には工事に精通している専門家や修繕工事の情報に明るい人がいれば、ぜひ入ってもらいましょう。というのも小規模のマンションであれば意見の衝突や時間的、あるいは義務的な負担も少なくて済みますが、中規模以上となると居住者の意見も必然的に多様化するため、意見がまとまりにくくなります。そうした場合、合意形成に時間がかかったり気を使ったりするケースも増え、負担が大きくなります。こういった理由からこうした活動に慣れている人、経験者、専門家の協力が不可欠となるからです。
やってはいけないこと
このときのスケジュールはあくまで大枠と考えてください。スケジュールを決めるときに細かいこところまで決めないようにします。詳細は修繕委員会の設立後、修繕委員会が決めれば良いでしょう。
ちなみに修繕委員会の設立時に、その活動内容と大規模修繕工事における目的を明確にすることがポイントです。修繕委員会は大規模修繕工事のことだけを考えていく、というある種の決め事がないと、やがて修繕委員会 vs 管理組合 のような構図になってしまうこともあります。
ステップ2.現状把握と調整
修繕委員会を立ち上げ、スケジュールが決まればいよいよ具体的な調整へと入っていきます。
やるべきこと
管理組合や修繕委員会の中で、大規模修繕工事の管理が難しいと感じたら、迷わずコンサルタントに依頼しましょう。
そもそもマンション内の住人を中心に構成された修繕委員会に、工事計画の進捗上必要とされる工事技術、法律、資金管理、専門用語への精通といったものをすべて求めるのは無理があります。
行き詰ったときは、普段の管理会社や專門の会社へ相談を持ち掛ける、もしくは自治体によってはコンサルタントの紹介をしてくれるところもあるので、積極的に活用しましょう。
コンサルティング会社が決まったら詳細をじっくり相談し、実施する工事、施工業者の選定に入ります。
コンサルティングを依頼する必要があるなど、大規模修繕工事においてはその事前の計画がとにかく大事です。早めに何でも相談し、解決しておきましょう。
やってはいけないこと
コンサルタントの選定に際し、コンサル会社、施工業者に住人の縁者を入れるのはおすすめできません。もし何かトラブルがあった時に、責任の所在を求めて住人同士の雰囲気が悪くなることも考えられます。あくまで第三者的な視点を保ち、フェアに大規模修繕工事を管理することのできる会社を選びましょう。
大規模修繕工事が終わっても住人は住み続けるわけですから、住民同士のいざこざは絶対に避けたいところです。
ステップ3.工事
コンサルティングが終わり、工事の仕様、業者スケジュールが決まれば、施工会社と請負契約し、いよいよ本題の工事に入ります。
やるべきこと
やるべきことは主に2つ、建物と人をしっかり見ていきましょう。
まずは工事が計画通りに行われているか、積極的に管理をしていきます。作業の進め方、施工後の改善具合、不備の有無といったところを定期的にチェックしましょう。施工スケジュールが変わることもありますし、施工計画のあった場所がその必要がない、あるいは思ったより状態が悪いといったケースも出てきます。
そうした場合に工事の中止や追加工事の必要性など、お金にかかわる部分も含めて業者に確認をしておくとよいでしょう。
工事が終わった後では対応できないこともあります。気がついたら直ぐに連絡できる仕組みを作っておくと良いかもしれません。
そして人です。住人と施工業者との間でトラブルが発生しないよう、事前に大きな音が出る、においが出るなどのインフォメーションを行います。必要に応じて荷物を移動するなど協力を依頼する必要がある場合は、早めに連絡するようにしましょう。
やってはいけないこと
たとえば工事の進み具合がよく、1週間先に予定していた工事を数日前倒しするなど、急な予定変更は極力避けましょう。日中働いている人はこうした変更に対しすぐに対応できません。結果、工事ができたところとできないところが発生し、そのことで施工業者の作業効率が下げてしまう恐れもあります。これは受渡し検査終了後のクレームもトラブルの元にもなるので注意が必要です。
検査前に確認事項を準備し、検査時には見落としのないようしっかり検査を行いましょう。
まとめ
今回は、大規模修繕工事の進め方と注意点についてお話しました。
ご覧いただいた通り、事前の計画と工事途中の管理、業者や住人との調整、完了時の検査の重要さがご理解いただけたかと思います。
パートナーとなるコンサルティング会社・施工業者選びは、大規模修繕工事の成功の鍵を握っていると言えるでしょう。