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耐震化について考えてみよう③ ~設備の耐震化~

2019.12.20

大規模修繕工事

201912比較的記憶に新しい大地震として、東日本大震災を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
これまでに起きた大地震の被害を鑑みた法律改正の効果もあり、マンションそのものが大きな被害を受けることは少なかったと思います。しかし忘れてはならないのが、マンションは構造物だけではないということ。構造物以外の被害が無視できないほど甚大なものとなる可能性があります。

 
そこで今回は、構造物以外の耐震化についてお話したいと思います。

 
 

避難の安全性

地震直後安全に避難ができること、また一時避難から戻った後に生活できることが望まれています。
では避難経路の安全性についてチェックしていきましょう。

玄関ドア

地震によってマンションに圧力がかかり、ドアがゆがんで開かなくなるケースが考えられます。玄関ドアの更新時にはある程度の変形でも開閉可能な、地震丁番を利用した対震ドアへの変更も考慮すべきでしょう。

廊下・階段・エントランスホール

避難上支障がないことが求められるので、天井のボードやガラスなどの落下リスクの確認や、階段に障害物が置かれていないかをチェックします。

バルコニー

地震の時バルコニーの隔て板を壊し、垂直避難器具で避難できるか、避難経路に障害物を置いてないか確認しておきます。垂直避難器具の設置がない、あるいはバルコニーが単独で造られているマンションもありますので、垂直避難器具の設置を進めておくと良いでしょう。

避難通路や塀

ピロティが避難経路となっており、自転車置き場などに利用されていて、避難経路がふさがれているケースもあります。またブロック塀や万年塀などがあっても避難通路が確保できるか、塀が崩れないか、ぐらついていないかなどをチェックします。

 
 

非構造部材の耐震安全性

非構造部材とは、外壁や内装材などを指します。
建築基準法では、こうした非建築部材においても、風圧や地震、その他震動・衝撃で脱落しないようにすべきとされています。
東日本大震災ではショッピングセンターや体育館など、広い空間内の天井がたくさん落ちたことを受け、一定の高さや規模を超える天井の脱落対策における規制強化が図られました。

外壁材

道路に面した場所は、人が怪我したり場合によっては命に影響する被害が出たりする可能性があります。そのため外壁のタイルの剥離浮き、外壁パネル落下リスクなど、打鍵検査や工法の確認を行いながら診断しておきます。

内装材

建物内部の天井ボードの落下、タイルなど壁材のひび割れ、剥落ちなどを診断しておきます。
エントランスホールや廊下など、避難経路となる場所の天井にボードを張っている場合は、下地金物の取り付け方法の確認、漏水による腐食をチェックします。

その他

鉄骨を使った階段は建物と揺れが異なるため、接合部分が外れると隙間の発生や傾いて転倒することもあります。
鉄骨階段や看板、塔屋目隠しの支柱などがきちんと施工されているか、破損や腐食がないか確認しましょう。

 
 

設備の耐震安全性

建築設備の耐震基準は、昭和53年の宮城県沖地震の影響を受け施行された新耐震設計法などにより、耐震性目標が定められるようになっています。
ただそれ以前に建てられたマンションの中には、設備の耐震性が低い設備を有するケースも見られます。
以下の設備について、耐震・安全性が十分かどうかチェックしましょう。

高置水槽

本来、必要な水平震度を保つようにアンカーボルトなどで固定することになっていますが、古い建物では水槽が置いてあるだけのケースもあり、落下の危険があります。耐震基準が定められた昭和57年以降に建てられたマンションでも、高置水槽が固定されていないケースもあるため、大丈夫と思わずに実際に目で見て確認しておくと安心です。

ポンプ、受変電設備、貯湯式給湯器

マンションの室内にある貯湯式の給湯器は満水時の重量が300キロを超えるため、配置するだけで固定していないと、倒れて破損、漏水・漏電の危険があります。1995年の兵庫県南部地震においてもベランダや共用廊下にあった電気温水器が転倒した事例が数多くあり、比較的新しい建物でもしっかりと足下部分などが固定されているかチェックします。

配管

地震時は配管部分にもいろいろな外力が加わります。変形や落下などが起こらず配管本体は無事でも、揺れにより接合するパイプが外れて漏水するリスクがあります。
配管の耐震においては、配管の支持はできるだけ構造躯体から取ること、仕様書や指針を順守した施工管理の徹底、立て管は建物の層間変形に追随させる、住棟導入部やエキスパンジョイント部分はフレキシブル継手や可とう性のある継手を設け、変形を三次元的に吸収させるなどの対策方法があるので、こちらも確認しておきます。

 
 

まとめ

構造物の耐震化に比べ、設備の耐震化は比較的容易に対応が可能です。
大規模修繕工事の機会に、対応を検討してみてはいかがでしょうか。

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