2019.08.16
大規模修繕工事
大規模修繕工事において、駐車場の修繕も同時に行うケースが多くなっています。
駐車場には平面式駐車場、自走式立体駐車場、機械式駐車装置などがあり、それぞれ修繕内容や費用が異なってくるため、管理する物件の駐車場がどのタイプなのか把握しておくと修繕計画も立てやすくなります。
そこで今回は、駐車場の修繕についてお話します。
平面式駐車場
平置き駐車場と呼ばれることもある最もメンテナンスが容易なタイプの駐車場で、分譲タイプのマンションに設置されている駐車場の約8割が、このタイプと言われています。
白線を引いて区画を設けるため、修繕内容には駐車番号や区画線の引き直しが上げられます。加えて車止めブロックの補修、取り換えなども、これらが設置されている場合は入ってきます。
野外の場合、路盤の改修は外構工事と合わせて行うとスムーズです。
自走式立体駐車場
平面駐車場を2層3段、3層4段といったように、駐車場と車が上下に出入りできるスロープを組み合わせた平面駐車場がこちらです。
消火設備や照明器具などの設置部、ライン・車止めの補修工事、エコ照明器具への変更などがメンテナンスの対象です。最近のものはメンテナンスフリーに近く、費用があまりかからない点も特徴的です。
ただし古いものは、床板(鉄製)から出る騒音対策、老朽化による漏水対策、さび対策などの塗装工事も含まれてきます。
機械式駐車装置
最近増えてきたタイプの駐車場で、狭いスペースしかない場合に重宝されています。ただしコストがかかることでも有名で、定期メンテナンス費用、塗装工事費用、法定耐用年数を超えた時に行う設備交換など、絶えずコストがかかります。
一般的なパレット昇降型の場合、5年から10年おきの鉄部塗装工事を行いますが、コストダウンにつながるポイントがいくつかあります。まずタイヤとの接触で摩耗の激しい車路部分の塗装は耐久性の高いものを使用し、ほかの部分は耐候性の高い塗装を施すと長持ちします。また地中のコンクリートビットは、マンション部分の漏水止水・躯体改修に合わせて行い、地下の鉄部には、対防食性のさび止めを使うと良いでしょう。
駐車場の廃止も……
最近では若年層を中心にクルマ離れが進み、年々増加する高齢層も自動車を手放すなど、車自体の利用者減が顕著になっています。
クルマの減少により空き駐車場が増え、利用料による収入が減り、維持費は変わらず据え置きという現実は、マンションの会計を圧迫する要因ともなります。
最近では大規模修繕を機に、駐車場を改修・撤去して必要な数を確保した平面駐車場化や、駐輪場に替えるケースも少なくありません。
塗装工事中はどうする?
塗装工事などを行う際には駐車場に車両が置けなくなります。よって仮駐車場を用意し、居住者に車両の移動をアナウンスするなど施工計画の検討が必要になるでしょう。仮の駐車場の台数が少なければその分ほかの駐車場を確保しなくてはなりませんから、工区を分けて時間差での工事を行うなど、そうした事態を回避する工夫も求められてきます。いろいろな可能性を踏まえ、事前に計画を立てておくとよいでしょう。
まとめ
このように駐車場は、方式によって定期的に必要なメンテナンス、修繕工事の内容、そして費用が全くことなります。
また、契約者と非契約者との間で維持するのか、撤去するのかといった意見が分かれることも多く、とてもデリケートな問題になっています。
平面式から機械式へ、立体式から平面式へといった改修や、駐車場そのものの撤去といった大きな改修を行うには、大規模修繕工事は絶好の機会です。
この機に専門業者に相談するなど、いろいろと検討してみるのはいかがでしょうか。