2019.05.10
大規模修繕工事
建物の開口部に設けられる、開け閉めできる仕切り部分を建具と呼びます。この部分の改修工事を建具工事と言いますが、建具工事とひと口に言っても種類は様々です。
建具と言えば一番に思い浮かぶのは玄関ドアだと思いますが、戸建住宅において玄関は家の顔と言っても過言ではありません。
マンションにおいてはエントランスが家の顔となりますが、各住戸の入口である玄関ドアも、ケアをおろそかにしてはならない大事な顔です。
今回は建具工事の中でも馴染みが深い「玄関ドア」についてお話します。
玄関ドアの改修とは
マンションの場合、一般的に玄関ドアは共有部分ですから個人では交換できません。しかし古くなって色落ちしたり、経年によるサビの発生、部分的に破損したりすることもあるため、交換ニーズは少なくありません。
そのため共有部分の工事を行う大規模修繕工事は、玄関ドアの改修はとても良い機会です。
玄関ドアの改修はおおよそ、20~30年くらいでのスパンで行うことが多くなっています。
具体的な改修部分
機能を回復する改修
ドアクローザー、蝶番、ドアスコープ、ドアノブ、気密ゴム、戸当たりゴムなどの調整 or 部品類を交換し、経年による開閉に生じた支障を解消します。
扉自体の変形や熱膨張による不具合など、劣化具合に応じてドアそのものの交換になることもあります。
美観を維持するための改修
塗装が剥げてしまった箇所や細かいキズがついて美観を欠く部分に塗装やフィルムを貼り、ケアしていく改修です。
ドア交換の工法
劣化が激しい場合や扉自体の性能が低い場合、ドア交換の実施が必要になります。その際いくつかの工法があります。
既存の枠はそのまま残し、扉だけを取り替える工法
- -メリット:工事規模が最小で済む
- -デメリット:既存の枠に適合する扉しか選べない
既存の枠に新たな枠を被せ、扉も交換する工法
- -メリット:コストバランスが良く、工事中の生活障害が起きにくい
- -デメリット:開口部が一回り小さくなる
既存の枠を撤去、新たな枠と扉を付ける
- -メリット:希望に合う扉に変えられる
- -デメリット:コスト、工事日数がかかる
ドアの選び方
改修の際新しく設置するドアの選び方ですが、検討要素がいくつかあります。デザイン性も大事な要素ですが、最近では機能性の高いドアがたくさん出てきています。
こちらでは4つの材料を主な検討材料として紹介していきます。
基本性能
気密性・断熱性・遮音性といったドア自体の基本性能は、重要な検討材料の一つです。空港に近い、寒冷地、湿気が多いなど、周辺環境によってはこれらを重視して選ぶ必要が出てくるでしょう。
防犯性能
空き巣の手口も巧妙になっていく中、最新のセキュリティ機能を備えたドアも重要な検討材料のひとつです。
鍵のつまみが外せるため、ガラスを破られても鍵を開けられることのない「セキュリティーサムターン」、ピッキング対策に有効な「ディンプルキー」「1ドア2ロック」などがあります。
対震性能
万が一に備え、ドアの性能も重要な検討材料です。ドアの場合、耐震ではなく対震がポイントでただ頑丈であればよいわけではありません。
地震が発生すると、玄関ドアの枠が変形して室内に閉じ込められてしまうケースもあります。対震ドアなら地震が発生し、扉が変形してしまったとしても扉が開閉できるので、室内閉じ込められによる2次災害のリスクを抑えることができます。
バリアフリー
介助や介護が必要な人が住んでいたり、高齢者が住んでいたりする場合には、簡単に開閉できるレバーハンドルやプッシュプルハンドル式のドアの導入も重要な検討材料となります。
まとめ
建具は防水や建付けといったデリケートな部分が少なくありません。また既存の枠をそのまま使いドアだけ新しくする場合にも、その調整が必要となります。簡単な工事ではないため、信頼できる実績のある業者に依頼するようにしましょう。