2019.03.08
大規模修繕工事
マンションの建設時、屋上の防水工事を行っているから心配ないと思われるかもしれません。
しかしどんなに強力な防水工事をしていても、経年劣化によりその効果は落ちてしまいます。そのため定期的な工事は不可欠です。
足場を組んでいる大規模修繕工事は、屋上の防水工事の良い機会となります。
では屋上の防水工事とはどのようなものなのでしょうか。
屋上の防水の役割
屋上の防水は建物にとって必要不可欠です。
建物の中でも重要な構造体である、柱、梁、壁などの鉄骨や鉄筋コンクリートなどを守る重要な役目があります。
仮に雨漏りしてしまうと、建物の構造内に入った水はどこから出てくるか分かりません。また出てきた水が入った水の全てとは限りません。
建物の内部にある建材類に水が浸み込み、主要な構造部に悪影響を与え、結果的に建物の劣化を加速させ、家の寿命を短くする可能性もあります。雨漏りしてからの補修では遅いのです。
ではなぜ防水工事を行ったにもかかわらず、雨漏れのリスクがあるのでしょうか?
まず屋上は、外壁やベランダ、バルコニーなどと異なり、雨風だけでなく、上からの日差しを長時間、直に受けます。このように屋上は紫外線もしくは水に対する露出時間が長く、その影響を受けやすいのです。
紫外線による防水素材の劣化、水が一か所に貯まる雨水溝などは通常の床面に比べて劣化しやすく、特に注意が必要な個所です。
屋上防水工事の種類
防水加工の仕上げは主に3種類あります。
・ウレタン防水
ウレタン樹脂による塗膜を利用した防水方法です。ウレタンは液状なので、複雑な形をした場所でも問題なく防水膜を加工することができます。ただ液状のため、防水層を均一に作ることが難しい点、また外部からの衝撃に対して弱いという欠点があります。
・シート防水
屋上の下地に、塩ビ樹脂やゴム系の材料を貼り付ける防水加工です。シートを貼り付けるだけの簡易な方式であるため、施工期間が短いことが最大のメリットですが、複雑な形状をしている部分の施工が難しく、ムラができる可能性がある点がデメリットと言えます。その難しさからシート防水に対応できる業者は、ウレタン防水に比べ少なくなっています。
・アスファルト防水
道路で使われているアスファルトを用い防水するもので、200m2以上の比較的広い屋上で採用される工法です。耐久性が高いのが最大の特徴で、耐用年数は15年から25年と、ウレタン防水、シート防水と比較しても最長です。ただし、3つの工事の中で最も工事費がかかります。
これらの防水工事を行う際に、既存防水層の状態を踏まえて工事を行う必要が出てきます。
防水加工の工法は2種類あります。既存防水層を完全撤去し、新しい防水層を作る工事を行うものと。既存防水層を部分的に撤去、もしくは不具合のある部分を補修した上で新しい防水層を作る工事を行う、かぶせ工法があります。
屋上防水工事の費用と耐年数
ではそれぞれの工法別に費用と耐年数を比較してみましょう。
・ウレタン防水
耐用年数:10年から15年
施工単価:1m2あたり4,000円から7,000円
対応可能面積:50m2-300m2
・シート防水
耐用年数:15年から20年
施工単価:1m2あたり4,000円から7,500円
対応可能面積:50m2-300m2
・アスファルト防水
耐用年数:15年から25年
施工単価:1m2あたり5,000円から8,000円(断熱材は別途)
対応可能面積:200m2以上
耐用年数を絡めた年間コストを算出した場合、年間コストが最も高いのはウレタン防水です。そして最も安いのがアスファルト防水でウレタン防水より30%程度安くなります。
まとめ
屋根・屋上の防水工事は、建物の中心となる梁や柱など、構造体を守る大切な工事です。
建物を長持ちさせるためには、こうした屋上の防水を含めた定期的なメンテナンスが必要になります。屋上防水は大規模修繕工事の期間に、是非とも一緒に行うようにしましょう。
近年では防水工事と併せて断熱工事を行うケースも増えています。トータルで大規模修繕工事を相談できる施工業者を探してみてはいかがでしょうか。