2019.01.25
大規模修繕工事
タイルは建物の外観を左右する大切な建材です。
しかし一枚一枚を接着して取り付ける特徴から、剥離による落下が発生した場合、物品の破損や人体への接触によるケガなどの重大事故につながる可能性も大きくなります。
最近の事例でいえば、2016年8月三鷹市にあるビルの外壁のタイルが台風の強風によって剥がれ落ち、近くを歩いていた男性に直撃、けがをしたという事故がありました。
こういった剥離による事故などを避けるために、タイル補修は大切な工事です。
今回は大規模修繕工事の中の「タイル補修工事」についてお話します。
タイル補修工事とは
外装や内装、床などに貼られたタイルは、建物の経年や風雨の影響、施工時の問題などが原因で、ひび割れや浮きが生じることは少なくありません。
外装に使われるタイルは特に強度が強く、ほとんど水分を染み込ませず、また耐候性・耐久に優れているため比較的長持ちします。しかし、10年に一度程度プロによるメンテナンスを行わないと、タイルの浮きや、剥がれが出てきてしまい、事故の原因になってしまったりもします。
そのため、建築後10年を超えたタイル製の外壁は、タイルの浮き状況、ひび割れをチェックし、浮きや、亀裂、滑落などが見られる場合は補修工事を行う必要があります。
ちなみに法令でも打診調査の必要性は定められていて、タイル張り等の外壁の劣化・損傷調査は、施工後10年後、もしくは外壁改修工事を行って10年を経過した建物に対し3年以内に行い、その調査結果を特定行政庁へ報告することが義務付けられています。
検査方法と補修方法
大規模修繕工事の際は、タイルの劣化状況を調べるために、全面的な打診チェックを行います。
打診によって、タイルの浮き状態をチェックしますが、浮き状態の調査は、タイル陶片の浮きか、タイルの下地モルタル層の浮きかを見極めることも重要になってきます。
なぜかというと補修方法が全く違ってくるからです。
タイル陶片の浮きについては既存のタイルを撤去し、張り替える補修が必要になります。
タイル下地のモルタル層とコンクリート躯体との間で浮きがある場合は、エポキシ樹脂とステンレスピン併用による再接着処理による補修となります。
またピンネット工法と呼ばれる工法もあります。これはタイルが剥離し落下するリスクを避けるため、ピンネットでタイルを躯体へ固定し、外壁のタイルを落下させないようにする補修方法です。
いずれの方法がとられるかは外壁の破損状況や、美観や今後のメンテナンスなどを総合的に検討し判断します。
タイルの在庫
外壁のタイル補修工事の際に懸念となるのが、タイルの在庫です。
10年以上経過している場合、新築時と同じタイルが十分な数保管されていない可能性があります。
そういったケースでは既存に近い市販のタイルを用いるか、タイルを焼き増ししたりする必要がでてきます。どちらにしてもメリット・デメリットがあります。
市販のタイルを使用する場合は、工期、費用面では抑えられますが、張り替えで既存タイルと色が合わず、外観を損ねてしまう場合があります。また、タイルを焼き増しする場合は、美観は美しく仕上がりますが、時間と費用が想定以上にかかってしまうことがあります。
メリット・デメリットをしっかり把握した上で十分な検討が必要になります。
まとめ
ここまで大規模修繕工事におけるタイル補修工事についてご紹介しました。
重要なポイントは一定期間経過後に調査を行い、剥離による落下などの重大事故を防ぐことです。
タイルの補修工事はマンションの外観や安全性に影響を与える重要な工事です。
確実な検査、補修工事を行いましょう。