2018.09.28
大規模修繕工事
マンションの住民が住みながら行われる大規模修繕工事。工事が行われているすぐそばでは、住民の日々の暮らしが営まれています。では工事期間中も日々の暮らしを安全に送るためには、どのような安全管理が必要となるでしょうか。
今回は大規模修繕工事中の「安全管理」についてお話します。
危険の回避
工事中のリスクを上げてみましょう。
一つは工事に関わるリスクです。二つ目は侵入者などの犯罪リスク、そして三つ目は工事中に起きる地震や台風といった天災にかかわるリスクです。
こうしたリスクを切り分けて、それぞれの対策を行っていくとよいでしょう。
二つ目のリスクについては前回のブログ「大規模修繕工事中の気になるあれこれ ~防犯対策~」に詳しく記載しているので、そちらをご覧ください。
では工事にかかわるリスクを減らす対策を見ていきましょう。
一つはガードマンの配置です。人通りの多い場所や、危険な箇所、資材の搬入や搬出の際に配置します。
加えて立入禁止区域の設定も工事に関わるリスクを軽減します。カラーコーン・カラーバー等を設置し、立ち入り禁止エリアを設けます。生活の支障にならない程度に行うと住民への配慮にもなります。
建物の出入口は住民が必ず出入りする場所となるので、飛来落下養生を必ず行います。
そして作業時間と範囲の調整も重要なリスク回避策です。通勤・通学路での作業は登下校時間は作業を避ける、開放廊下・エレベーターホール等の通路は、作業中も通行に支障のないように片側ずつ作業を行うなどの対策を取ります。
最後に、特に夏場など台風や大雨、冬場の大雪などの異常気象や、いつ起こるかわからない地震の対策も必要になってきます。台風接近時などはガードマンによる現場内パトロールや、万が一自身が発生した場合の対応策などを検討しておきましょう。
安心の提供
工事中のリスクに関する回避策だけでなく、日常生活を安全に過ごすためのサポートとなる対策を行うと、住民も安心感を得られます。
たとえば工事情報を伝える看板・張り紙を張り、どんな工事が行われているのかを住民に周知したり、危険が伴う工事の場合は注意を喚起したりします。
工事中は床が滑りやすくなったり、資材やごみでつまづいてケガをする恐れがあり、床や建具などを傷つけるリスクもあるので、ゴムシートによる床面養生を行います。
自動車やバイク、自転車などが屋外やベランダなどにあり、傷つける恐れ場あるときは移動をお願いしたり、カバーをかけたりします。
養生などで、もともとある手すりが隠れてしまう場合は、高齢者に配慮して手すりの設置を行います。
作業員の教育
施工業者など実際に作業をする作業員の安全管理に対する教育も重要なタスクの一つです。
具体的には定期的な安全協議会などの定期的な講習によって、安全への取り組みを学んだり、毎朝行う朝礼、終業時に行う終礼などで毎日の作業内容の確認、注意事項の周知を徹底し、装備や手順の相互確認などによって、繰り返し安全に対する意識が高まるように教育していきます。
保険への加入
万全な安全対策を取っていたとしても、予想外、想定外の出来事が起こらないとは限りません。
そういった想定外の事態が起きた時や、不慮の事故や起こった場合のために備えるのが保険です。工事中の第三者に対する対人・対物賠償責任の賠償リスクをカバーする工事賠償責任保険など、工事会社が保険へ加入しているか確認しておくと安心です。
まとめ
住民の日々の暮らしが大規模修繕工事が行われる中で営まれる。このある種非日常的な空間の中で、いかに安心・安全に過ごせるか。こうした願いに十分に配慮してくれる管理会社、施工会社を選定するように、管理組合が注意することも大切です。