2018.06.08
大規模修繕工事
大規模修繕工事はその名の通り大規模な範囲で、大きな費用をかけ、修繕工事の中でも比較的長い期間行われる工事です。それだけに工事に着手する施工会社選びは慎重を期さなければなりません。
大規模修繕工事の発注方式で、仮に設計・工事管理・施工までを同じ会社に発注する「責任施工方式」を採用した場合、どこの施工会社に工事を発注するかは、管理組合にとって最重要事項となります。
ではどのように”すべて”を任せる業者を選んでいくべきなのでしょうか。
今回はこの「選定方式」についてお話します。
主な選定方式の種類
まずは選定方式を理解しておきましょう。
選定方式は全部で3つあり、以下のような方式があります。
・特命随意契約方式
工事を発注する側が特定の事業者を指定し、契約を締結する方式が特命随意契約方式です。一般的に随意契約とは特命随意契約を指します。
公共工事の場合は競争入札を行い事業者を決めるのが原則となっていますが、大規模修繕工事はこの限りではありません。
特命随意契約のメリットは、競争入札を行う場合と比較して手続きが単純で短時間で行える点があります。一方で最初から最後まで同じ業者にまかせっきりとなるため、内容の透明性に難点があるとされます。
ちなみに随意契約には特命随意契約のほかに、工事の予定価格が少額の場合に複数の業者から見積書をもらい、契約者を決める少額随意契約、競争入札をしても入札者がいない場合や、落札されない場合、落札者が契約に至らなかった場合に、不落契約と言って最低価格での入札者との随意契約ができます。
・見積り合わせ方式
相見積もりと呼ばれるもので、複数の業者に見積書を出してもらい、施工者を決める方式です。
見積書の提示価格だけでなく、工事の仕様、業者の信頼性、工事の技術などを検討し、工事を発注する業者を決めていきます。
・競争入札方式
工事の内容を公開し、発注者が希望する条件を満たす事業者同士で競争を行い、契約者を決める方式です。競争は価格のみのもの(最低価格落札方式)と価格以外の要素について提案をうけ、発注者がその内容を吟味して評価したのちに事業者を決めるもの(総合評価落札方式)の二つがあります。
競争入札にはあと指名競争入札と企画競争入札方式の2種類があります。
前者は発注する側が指名した業者同士で競争に参加し、契約者を決める方式、者は発注側が複数の業者から企画などを提出させ、もっとも内容の良かった業者を選ぶ方式です。
見積り合わせ方式の手順
手順
1.依頼施工会社選定
見積もりを徴収する会社を選びます
2.図書準備
見積条件書や見積項目書、工事仕様書、改修図などの資料を準備します
3.説明(現説)
建物の案内、交付図書に関する説明を行います
4.回答
見積もり依頼業者からの質問に対応・返答します
5.書受領
指定期日までに業者から送られてくる見積書や工程表などを受領します
6.書等チェック
見積もり内容、項目、数量、作業工程、体制などを確認します
7.会社の絞込み
施工会社を経営状況、実績、体制、見積もり内容などにかんがみ、ヒアリング対象を絞り込みます
8.会社へのヒアリング
2~5社程度に絞った施工会社へヒアリングします
9.会社内定
条件に合う会社を決定し、内定書を送付します
見積り項目書の重要性
見積書は業者を判断するための重要な資料となります。しかし業者ごとに異なる見積書を提出してもらっても、その金額が本当に適正なものなのか、工事内容は必要なものを網羅しているのか、判断が付きません。そこで見積もり項目書を作り、見積書に記載する項目を統一したほうが効率的です。
見積り項目書は、工事部位や仕様の項目と数量が並び、単価や金額のところだけが空欄になっています。そこを施工会社に記入してもらうことにより、同じ内容、同じ基準で見積を提出してもらい、公正な内容での比較・検討ができるようになります。
まとめ
大規模修繕工事において、不必要に高い工事費を払ってしまうケースや、安かろう悪かろうの雑な工事になってしまわないために、施工会社の選定は非常に重要です。
選定方式、見積書の重要性をしっかり理解し、信頼のおける施工会社の選定に努めましょう。