2018.05.25
大規模修繕工事
大規模修繕の施工前には専門家によるさまざまな調査が行われますが、マンションの管理組合にもできることがあります。
それが目視調査です。
目視調査は、短期的かつ経済的に実施できる上に後々重要な情報源となるケースも多く、専門家に見てもらう前に定期的に行っておきたい調査です。
今回は目視調査の重要性についてご紹介したいと思います。
目視調査とは
目視調査とはその名の通り、人の目で見て建物そのものや部材などの劣化具合を判断する調査です。
内容は目視の名の通り非常に簡易で、騒音や粉塵を伴う調査、給水や排水などライフラインが一時的に止まる抜管調査などに比べると大変手軽に行えます。
通常の大規模修繕は、まずはここから開始されることが多くなります。
ちなみに目視調査は、耐震診断のような統一された技術基準があるわけではありません。
基本的に劣化状況や不具合部分の現況確認にとどまり、原因追及が目的ではない点は覚えておくと良いでしょう。
また原因追及を行う場合、概して調査する人の経験と推測に頼らなければならないので、客観的な根拠は乏しくなります。
加えて実際に工事が始まらないとわからないことが多いため、目視調査のみで劣化具合を全て把握することは不可能です。
これらの点を踏まえ、あくまで事前調査であることを念頭に置き、目で見てもわかる不具合をチェックするという感覚で良いでしょう。
主な調査箇所
実際に人が入り目で見える範囲を調査します。
調査箇所は主に以下のような場所です。
-「防水材」の劣化具合を調査
シートの防水具合や塗膜の状態など調査項目が多い部分をチェックします。塗膜がはがれているなど見た目で明らかな不具合が見つかることもあります。
-「二次部材」の劣化具合を調査
手すりや雨どいなど二次部材の腐食の進行度などを目で見て判断します。
-「外装、躯体」の劣化具合を調査
塗装材、タイルなどの劣化状況を確認します。
そのほか目視で色が変色していないか、タイルが浮いていないか、はがれていないか、ひび割れや脱落がないかなどを確認します。
躯体(基礎、基礎ぐい、壁、柱などマンションの構造体)は建物の根幹にかかわるため、著しい劣化が見られる場合は追加調査を行い、原因究明、修繕設計を念入りに行う必要があります。
-「廊下や玄関」周りなどの劣化具合
床面のタイルの剥がれやへこみなどを確認するとともに、現状の使用状況もチェックします。後々撤去が必要かどうかなど、おおむねこの段階で確認することが出来ます。
-屋外の調査
目視調査では、建物だけでなく敷地内の外構や樹木よる路面の持ち上がり具合などを確認します。
目視調査は、統一化された技術水準があるわけではなく、劣化状況や不具合などの現状確認をするだけにとどまるものです。
しかし、通常修繕や改修には図面と現状が違う、配管があるべき位置に無いなど、想定外の発見があるものです。
そうした発見があった場合には、工事の精度を上げるための詳細調査につながる可能性もあるため、大変有効です。
ぜひ定期的に行っておきたいですね。