2018.04.27
大規模修繕工事
大規模修繕工事は莫大な費用がかかります。マンションの規模が大きければ大きいほど、より大きなお金が掛かってくるでしょう。
金額が巨額なだけに、予算案をキッチリと組み立てることと、資金計画に対して全会一致で理解してもらうことが、工事成功のためにも大切です。
今回は大規模修繕工事における資金計画の考え方をご紹介していきます。
長期修繕計画と実際の設計見積もりの開きを確認
http://diamond.jp/articles/-/145205
ダイヤモンドオンライン-2017.10.11「9割以上のマンションが「修繕積立金破綻」の危機、回避の秘策は」
こちらの記事はあくまで一例ではありますが、マンションの大規模修繕における資金計画は、慎重に進めていかなければなりません。
工事費については、修繕の実施設計が終了した段階で全体の見積もりができるようになります。
この時点で、当初予定していた長期修繕計画における工事費と開きが無いか確認しておく必要があります。
ここで開きがある場合、先ほどの記事のように長期修繕計画が破綻する可能性が高くなり、1回目の修繕だけでなくその後の修繕にもマイナスの影響を及ぼすため、慎重に確認しておくべきです。
予備費を予算内に見込んでおく
予算オーバーとなるのを防ぐ方法の一つとして、予備費を予算内に組み込むというものがあります。
大規模修繕工事では工事前の見積もりと、工事後の費用に開きが出る場合がほとんどです。
というのも修繕すべき対象の数量が、見積もり時は指定数量、工事後に実施数量となり、実際の数量を確定して増減を精算するためです。これを「精算工事」と呼びます。
また、工事を実施していく中で工事の追加や変更も多々発生する可能性が高く、修繕費用をオーバーするかもしれません。
それだけにある程度金額に余裕を持っておくことが大切です。それが予備費です。
予備費があれば追加工事などで実際の工事費が予算大きく上回るような事態になってしまっても柔軟な対応が出来るようになります。もし予算をオーバーして補てんを行わなければならない場合、改めて総会決議が必要になってきますので、こうした手間を削減するためにも予備費を設定しておくと良いでしょう。
資金不足の場合
見積もりの段階で修繕積立金では不足してしまう場合、どうすれば良いのでしょうか。
この場合、一般的にマンションの区分所有者から一時金徴収したり、金融機関からの借り入れで賄ったりする場合が一般的です。
いずれのケースも区分所有者の理解が必要となりますので、どのような状況でなぜ費用が必要になるのか、しっかりと説明を行っておきましょう。
資金が足りなくなる事例は修繕積立金に関する調査だけを見ると、少ない事がわかります。
平成25年度マンション総合調査によれば、修繕積立金だけで行った割合は66%(不明との回答を除くと80%)。金融機関からの借り入れは11%、一時金徴収はわずか2%の割合にとどまっています。
助成制度の利用
積立金だけでなく、助成金や補助金の利用も検討したい所です。
実施している地方公共団体は限られますが、マンションの共用部分の工事に対して助成を行っている地方もあります。
また同様に、マンションのバリアフリー化など、特定の改修に限って補助制度などを設けているケースもあり、調べてみる価値はあります。
最近は国の施策として建物の省エネ・エコ化が推進されています。長期優良住宅化リフォームや省エネ改修の促進のための事業が行われており、補助対象が公募されていることもあるので、チェックしておくと良いでしょう。
最後に、地方公共団体によるマンション助成例を上げると、以下のようなものがあります。
・共用部分改修費用助成制度
・共用部分修繕工事費資金借入の利子補給制度
・共用部分バリアフリー化、住宅改造費助成制度
・耐震改修(アドバイザー派遣、診断、設計、工事費)助成制度
・アスベスト除去費助成制度
・擁壁および崖改修等支援制度
・エレベーター防災対策改修支援制度
・劣化診断調査費、計画修繕調査費助成制度
・大規模修繕、立て替えアドバイザー派遣制度
・マンション管理アドバイザー、マンション管理士等派遣制度