2018.02.23
大規模修繕工事
会社でも新しいプロジェクトを始めるときに重要になってくるのが、体制作りです。
たとえばあなたの会社が持っているプロジェクトには期間が長い物と短い物、いろいろあるかと思いますが、5年、10年と続く長期間のプロジェクトはまれでしょう。一方、大規模修繕工事は複数年にまたがる一大プロジェクトです。
この複数年にわたるプロジェクトを成功させていくためには、綿密な下準備が必要です。
予算管理や外注先など、工事の施工にあたって事前に準備しなければいけないこともたくさんあります。体制作りがしっかりしていないと、計画が二転三転してしまい、満足のいく結果を得られないかもしれません。
そこで、大規模修繕プロジェクトにおいて、どのように各部門を設置し、万全の体制を作っていくのか。今回はその体制づくりのポイントをご紹介します。
専門委員会の設置
まずは、円滑な修繕計画の進行をしていくための組織を作っていきます。それが専門委員会です。名称は「大規模修繕委員会」や「計画修繕委員会」などさまざまですが、基本的にやることは一つです。
専門委員会は「修繕計画の円滑な進行をすること。」この本線を守っていくための組織となります。
通常管理組合が行うべき業務は理事会が執り行いますが、この通常の業務に加え、大規模修繕工事の業務が追加されると手が回らなくなってしまいます。それに大規模修繕工事は、発案から工事完了まで2~3年ほどかかるので、理事の任期を上回ってしまう可能性もあり、非常に負担が重くなります。だからこそ理事会とは別に大規模修繕工事の専門委員会を設置すると良いでしょう。
委員の任期は工事終了まで、可能な限りメンバーを固定できる体制をつくるとスムーズです。
決定権は理事会にある
まず前提として、すべての決定権は理事会にあることを忘れてはいけません。専門委員会が決定権まで持ってしまうと、同じ力を持った組織が並列する事になり、混乱してしまいます。
専門委員会は専門家の選定、調査診断の立ち合い、工事内容の提案、説明会の実施、組合員の意見徴収、広報活動、業者選定など、多岐に渡る業務を行いますが、あくまで理事会の諮問機関となり、黒子の役割を果たさなければなりません。
理事会に対し、しっかりと意思疎通を図りながら、議論のやりなおしなどを避けて、円滑に計画を進めていく必要があります。そういった面を考慮すると、実務は行わなくても専門委員会に理事会のメンバー(理事長、副理事長、会計など)を参加させ、適時認識合わせをしておくとスムーズです。
専門委員会には老若男女いろいろな立場の人を
では専門委員会のメンバーをどのように選んで行けば良いのでしょうか。
専門委員会は、建築や設備などの専門知識を持つ人も必要ですが、実際に住んでいる人、日中のマンションがどのように利用されているかを肌で感じて知っている人もメンバーに入れたり、マンション周辺に住んでいる外部の方、お年寄りの方などを入れたりしながら、内外の情報を集めていく必要があります。
そうすることで、別々の視点からいろいろな意見や情報を得られますので、多角的な判断ができるようになります。専門委員会のメンバーは柔軟に決めていきましょう。
専門委員会が設置できない場合
大規模なマンションならまだしも、小規模マンションの場合、区分所有者が少なく専門委員会が設置できないことも少なくありません。そうした場合は臨時で理事の増員行う、あるいは理事会の回数を増やすなどして補うと良いでしょう。