2018.03.09
大規模修繕工事
建物に居住されたまま施工を行う大規模修繕工事は、修繕内容もさることながら、居住者への配慮がとても大切です。
工期や工事内容など建物だけを見て工事に取りかかると、どうしても居住者の存在が見えなくなりがちです。工事には万全を期していますが、何より居住者の視点で安全管理を行い、工事を進めていく必要があります。
今回ご紹介するのは、工事のアナウンスの仕方とその内容です。
居住者一人ひとりにご理解いただく
まずは大規模修繕の実施に先立ち工事のしおりを配布し、工事会社による説明会を実施致します。
弊社では賃貸物件の施工が多いためオーナー様に内容を説明し、住民の皆様には工事資料を配布する事例が多くなっています。
説明会を行う場合、工事説明資料の内容をお伝えします。
<説明資料の事例>
—–<表紙>—–
○○マンションにお住まいの皆様に
○○マンション外壁修繕その他工事
<工事説明資料>
工事監理:株式会社○○
工事施工:東京住宅サービス株式会社
—–<表紙>—–
また、住民の皆様にお伝えする内容は下記のような内容です。
1.工事の概要
・工事期間
・作業時間など
2.工事についての説明
・具体的な内容
・着工前準備のお願い
・工事中のお知らせ
・作業員の服装
3.居住者の皆様へのお願い
4.工事工程表
5.共通仮設計画
6.衛星放送等の手続き
工事内容は、行う工事すべてを網羅して記載します。
大規模修繕工事の場合、このように非常に多項目にわたります。
①仮設工事
②外壁等修繕工事
③外壁塗装工事
④外壁タイル洗浄工事
⑤鉄部塗装工事(玄関扉枠等)
⑥シーリング工事(サッシシーリング打替え等)
⑦共用廊下床シート張替え工事
⑧バルコニー床防水工事
⑨建具修繕工事(対震ドアガード取付)
⑩部品・その他工事
それぞれの工事に関する具体的な説明とともに、居住者の方々への注意事項を記載します。
足場を組み立てて行うので、衛星放送のアンテナの取り外しやバルコニーの荷物を撤去していただく必要があります。工事内容をはっきりと伝え、周知しながら住民の皆様の協力を得ていきます。
説明会では現場担当者の顔やユニフォームなどを覚えてもらいながら、工事の内容や流れ、工期、注意事項を皆様にご理解いただきます。
基本的には居住者全員参加が前提ですので、マンションの戸数が多い場合は説明会を複数回に分けて行うケースもあります。
内容を正確に伝え、対応いただく項目は詳しく説明
バルコニーの荷物やアンテナの片付け、窓開け、洗濯物干しの制限など、日々の工事の進捗に合わせて、居住者に周知しなければならないことはたくさんあります。
給排水設備の更新や玄関扉の塗装などは、居住者に在宅してもらう必要のある工事もあります。
これらのお知らせは事前に行うと同時に、エントランスなどの目に触れやすい場所への掲示、その都度内容に関する個別ビラの配布などを行い、工夫して伝えるようにしています。
工事の際にはバルコニーの片付けなど、実施前から協力してもらわないといけない部分もあります。
バルコニーの植木鉢やパラボラアンテナの撤去など、工事の支障となる私物については、居住者に移設もしくは撤去してもらわなければなりません。こういった部分は個人的な感情に配慮してお知らせする必要がありますので、ただ指示するだけでなく、撤去する場所を用意したり撤去のお手伝いをしたりするなど、さまざまな配慮を行っています。
質問・要望・苦情への対応
説明会や書面での説明だけで終わりではなく、質問・要望・苦情への対応の有無も、修繕工事をスムーズに進めていくためのポイントです。
弊社では工事に関する居住者からの質問や要望、苦情に対応できる環境を用意しています。
現場に電話や窓口対応が出来る人員を配置するとともに、投書箱などを設置する場合もあります。
最近では居住者の高齢化が進んでおり、自力で工事準備が出来ない人も増えてきています。そういった方々に対してもご家族や親類、介護スタッフなどと連携をとって対応していくよう十分な配慮が必要です。