2018.01.12
大規模修繕工事
大規模修繕工事にはそれを行うべき周期があります。
この周期はどのくらいでやってくるかお分かりになりますでしょうか。
いままでの記事でも記載しましたが、マンションにおいて定期的な修繕は必要不可欠です。
今回は大規模修繕工事をどのようなタイミング、周期で行えば良いのか、詳しく紹介していきます。
計画修繕の概念
先ほど「修繕行うべき周期」と言いましたが、法律などによって一概に「○○年ごと」と決められているわけではありません。
建物の性能は、経年とともに物理的にも社会的に経済的にも低下していくのは変わりません。しかし建物の劣化具合は、その建物の構造や、立地条件、日常的な管理状態などによってまちまちです。
そのため、建物を管理しながら正確に劣化や傷んでいる箇所を把握し、修繕の時期を決め、それを周期化していく必要があります。
ちなみに大規模修繕工事には、修繕と改良という2つの概念があります。
劣化したものを初期の水準まで引き上げることを「修繕」といい、初期の水準以上に時代の要求水準(建築基準法など)までさらに引き上げることを「改良」といいます。
修繕は前者だけでなく後者を組み合わせ、周期的に実施していくことです。これを「計画修繕」と呼びます。
マンション大規模修繕工事の周期
大規模修繕工事の周期には凡その目安があります。多くの場合、12年周期の工事が一般的です。
なぜ12年周期かと言うと、建築基準法において築後10年を経過した外壁がタイル貼りなどのマンションは、その3年以内に外壁の全面打診調査を行わなければならない、と規定されているためです。
この法律は平成20年4月から改正施行されたもので、定期報告制度の調査、検査基準などが厳しくなり、上記外壁の全面打診調査に加え、仮に築年数が10年未満でも目視確認と手の届く範囲の打診調査は行わなければなりません。また万が一異常箇所がある場合は全面打診調査が必要となります。
話しが少しそれましたが、建物の管理や修繕工事の実行について、以前より厳しくなっているとお考えください。
まずは築後12年をめどに一回目の大規模修繕工事を行い、それを周期化していく方針が取られます。
また、12年周期の大規模修繕に加え、その中間にあたる6年周期の短い期間で鉄部塗装や給排水衛生設備、電気設備などを修繕、改良していくパターンもあります。
何回目の大規模修繕工事かで内容が変わってくる
大規模修繕工事を1回目、2回目、3回目と重ねていく中で、それぞれの内容も劣化具合や修繕具合によって変わってきます。
1回目の大規模修繕工事は外壁を中心に新築時の姿に戻す程度で行われます。
2回目は外壁だけでなく、玄関ドアやアルミサッシなど、建物の内側の付属的な部位が劣化している部分も含めて修繕工事を行います。そのため2回目の工事は1回目よりも広範囲になることが多くなります。築後25年目から30年以上経過したころに行われる、3回目の工事では、外壁、内側問わず、建物ほぼ全域を対象とした大規模修繕工事が行われることが多くなります。加えて社会や法律などに基づき、その時代に合わせた設備や部材の更新、耐震補強工事、省エネ化などの工事が付随して行われます。
周期はなるべくまとめて居住者への負担を減らす
ここまで説明してきましたように、大規模修繕工事の周期はあくまで一般的な例で、建物の大きさや、敷地面積などで大きく変わってきます。また建物の設備や部位、使われている部材などによってさまざまな修繕・改良がありえるので、一概に上記の周期があてはまるとも言えないのです。
ただし、周期ごとで異なった工事が行われる大規模修繕では、期を重ねるごとに費用が増大する傾向になる点は、どの建物も変わりません。
それだけに工事を滞りなく行い、その費用の確保を行えるよう、計画修繕を進めていく必要があります。居住したまま行われる大規模修繕工事、居住者への負担軽減も視野にいれ、計画を立てていきましょう。