2017.11.10
大規模修繕工事
マンションが築10年を超え、そろそろ「大規模修繕工事」を計画しておきたいものの、実際にどのような流れで進めればいいのか見当もつかない、という方も多いのではないでしょうか。
大規模修繕工事は、
1.修繕委員会の設置と計画
2.現状把握・調整
3.工事
という3ステップに分けて準備を進めていくとスムーズです。
では一般的な「大規模修繕工事」の流れについて、詳しく見ていきましょう。
各ステップと概要
さきほど3つのステップで工事を進めていくと良いと説明しましたが、3ステップのそれぞれでやるべきことがあります。
番号を振っていますので順番に見ていきましょう。
ステップ1.修繕委員会の設置と計画
まずは修繕計画を立てていきます。一般的に修繕の進め方は、コンサルタントに委託する方法、管理会社に委託する方法、管理組合が進めていく方法の3種類あります。
こちらでは管理組合(修繕委員会)が大規模修繕計画を立て、コンサルタントに依頼した場合を想定して説明致します。
1.長期修繕計画の作成
通常マンションの入居時に、分譲会社や管理会社が作成して修繕積立金(月額)と共に居住者に提示します。
現状に即した修繕計画を新たに作る場合は、どんな修繕をするのか、基本計画を立てて概算予算を算出し、資金計画を検討していきます。
2.修繕積立金の見直し
入居時に設定されている修繕積立金は、建物の劣化状況や経済変動等により不足する可能性があります。修繕内容や工事の範囲などに応じて必要に応じて見直していきます。
3.修繕委員会の設置
住民やコンサルタント、工事請負会社の窓口となる修繕委員会を設置します。理事は1~2年での交代が多いため、必要に応じて継続性を持たせた委員を置きます。
ステップ2.現状把握と調整
修繕の体制作りと計画の作成が終わったら次はステップ2.建物の現状把握と調整です。
4.コンサルタント会社の選定
大規模修繕工事は内容が専門的ですので、管理組合や修繕委員会の負担を減らすためにも必要なパートナーです。調査・診断、工事会社の選定、総会決議のサポートや工事管理まで委託できます。
5.建物調査診断
大規模修繕工事に入る前に、修繕計画を作成します。コンサルタントが建物・設備等の状態を調査・診断します。
6.修繕設計
建物調査診断結果に基づきどんな修繕を行うのか、実際に行う修繕工事項目を決定し、図面・工事仕様書作成と概算費用を算定します。
7.施工会社の選定
どこの会社に工事を依頼するか、施工会社を決めます。大規模修繕工事は多額の費用が必要で、かつ安全・品質の確保が最重要事項となります。施工会社は慎重に選定していきましょう。
ステップ3.工事
施工会社が決定するといよいよ工事開始です。
工事からアフターケアまでがステップ3です。
8.設計監理
工事の安全・品質確保等のため、工事が計画・設計図書通りに行われているか否か、第三者の視点で管理します。修繕委員会に専門知識のある方がいれば良いのですが、やはり専門家であるコンサルタントに任せたい仕事です。
9.竣工検査
工事終了後、工事が計画・設計図書通りに行われたか否か検査します。必要に応じて、後期の途中で中間検査を行っても良いでしょう。
10.工事関係資料の保管
修繕工事が終わってほっと一息つきたいところですが、修繕工事は今回だけではありません。工事終了したその日から、また新たな維持管理が始まります。
契約書・工事費内訳書・図面・工事写真等の工事関係資料は、次回の大規模修繕工事のための重要な資料作りとなりますので、しっかりと保管しておきましょう。
11.アフターケア
工事完成後の定期点検、不備があった場合の工事保障等に加え、今回の工事内容を踏まえた長期修繕計画・修繕積立金の見直し等も怠りなく実施することが大切です。
まとめ
「大規模修繕工事」の流れ、いかがでしたでしょうか?
着工は8.以降のステップとなっており、それまでの下準備に多くの時間を割く必要があります。
また「大規模修繕工事」は多額の費用が必要です。そのため着工までに綿密な計画を練り、失敗しないよう慎重に進めなければなりません。
多くは早い段階でコンサルタント会社が入るので、協力して進めていきましょう